2024年1月13日に、台湾で4年に一度の総統選と、国会議員に当たる立法委員の選挙が行われた。すでに結果が発表され、台湾の政治経済動向が期待されるが、まずは選挙が、民主的かつ無事に終わったことを祝福したい。
さて、この記事では、選挙を傍観して感じたことをざっくりまとめたいと思う。
今回の選挙にあたり、2023年の夏前には候補者案が出始め、秋から選挙活動が本格的に行われるようになった。
2016年、2020年も、偶然、投票当日に台湾にいたが、今回はこれまでと異なり、投票日の半年以上前から台湾にいた。また、新型コロナにによる各種制限もなくなったことから「實體」イベントも含めて事前の選挙活動をたくさん見ることができた。例えば、噂には聞いていた、音楽ライブのような選挙イベント、一定金額以下ならば許される名前入りのグッズ配布(日本では禁止されている)、応援ソングの存在、ツアーバスで集会に参加する支持者団体などなど。「本当にこんな感じなんだ」と思うことの連続だった。
単純に8年前、4年前と比較して、自分自身が中文を理解できるようになっていたため、見聞きする情報が増えた、というのが色々学べた一因ではあると思う。ただ、今回選挙イベントに参加し、イベントでは台湾語が使われる場合も多く、内容を本当に理解するためは中文だけできるのでは不十分だとも感じた。
例えば、板橋で開催された民進党集会は、蔡さん以外の方(頼さん、蘇さん、などなど)のスピーチが全部台湾語だった。最初「凍蒜」とは何だ?と思ったが、台湾語の「当選」に漢字を当てはめたものだと教わった。
もう一つ印象的だったのが、立法委員候補者のグラスルーツ的な選挙活動。公園、駅、学校などなど、いろいろなところで呼びかけをしていて、政治家は会えて当たり前の存在になっている印象を受けた。もちろん、これは台北が人口多く、一つの選挙区が小さいということが一因だとは思う。ただ、街頭演説に市民(支持者)が耳を傾け、一緒に写真を撮っていたのは、選挙区が細分化しているからとは言い切れず、政治への高い関心があってこそなのだと感じた。
選挙当日の夜は、様々な人の勝利宣言と敗北宣言をきいた。その中で最も印象に残ったのは、1枚目の写真のグッズをもらった苗博雅候補の演説。選挙の結果を受け止めて、「私は敗北したが、台湾の民主主義は今日また一歩前進した」と話し、公正な選挙の実施をポジティブに捉えていた姿が台湾こそと感じた。ちなみに、彼女は日本のメディアでも紹介されていたので、もしかすると知っている方も多いのでは、と思う。
今後でいうと、次の総統の就任は5月20日とのこと。それまでに、候補者が選挙活動の過程で打ち出していた政策を勉強せねばなあと思う(特に総統)。シンプルに3人分の政策を理解・比較するできるほど有能な脳みそを私は持っていなかったので、途中でフォローをあきらめてしまった。台湾の今後を、私自身勉強しながら、見ていきたい。