まめはな雑記

台湾迷の日本人による、旅行記、読書録、その他メモ。台湾以外のネタも少々含みます。

【旅】馬祖の「奈良公園」大坵島

台湾の離島に奈良公園のような場所があることはあまり知られていない。

今回そこに行くにあたり、いろいろ情報を漁ったが、日本語の情報がかなり限られていたことから、おそらく存在を知っている日本人はほとんどいないのではないかと思う(知っている方、かなりの台湾通と思われます)。

あまりに情報が少なく、どうやって行ったらいいか等、直前までよくわからなかったので、実際に行ってみてどうだったかをまとめたいと思う。

大坵島の場所

その「奈良公園」のような場所は、大坵島というところにある。

馬祖列島にある島の一つで、今回滞在した北竿から近く、船で5~10分程度の距離にある。

そもそも馬祖列島ってどこだ?という方は、以下のブログにまとめてあるので見てほしい。多分、ここに台湾の離島があることを知らない日本人の方が多いと思う(自分も最初知ったときには驚いた)。

dou4hua1.hatenablog.com

大坵島とは

梅花鹿の生息地

現在は、たくさんの鹿が住む無人島となっている。

この鹿は、梅花鹿という台湾の固有種である。

1996年に連江県政府がこの島に13頭の梅花鹿を話したところ、自然繁殖して現在は150頭ほどまでその数が増えたそうだ。

梅花鹿

(参考)交通部観光署馬祖国家風景区管理処

https://www.matsu-nsa.gov.tw/Festival-Content.aspx?a=308&l=3

1998年に無人島となった場所

もともとは50世帯ほどの島民がいたが、1980年代から住民が他の島へ移住し、1991年に最後の1世帯(陳さん)が北竿に移住したことで、住民はゼロとなったそう。

その後、1998年には軍事拠点も撤収され、完全な無人島となった。

このような経緯から、島には村や学校の跡が残っている。もちろん、ミリタリーな雰囲気が強く残る場所もある。

軍事標語。「忠誠、団結、気風、効率」とのこと。

大坵島への行き方

台湾本島からは直接大坵島へ行くことはできず、北竿または南竿から船で行く必要がある。

実は、船の乗り方がいまいちよくわからずどうしようかな~と思っていたところ、同じ民宿に滞在していた台湾人の方が、ちょうど同じ日に大坵島に行こうとしているとのことで、連れて行ってくれた(神)。

そのため、この行き方以外にも方法はあるかもしれないが、その点については筆者は全く分からない。ただ、少なくとも以下の方法をとれば確実に大坵島へ行くことができる、とは思ってもらえればと思う。

アクセス(北竿から行く場合)

北竿の橋仔聚落から船に乗っていくのが最短の方法である。

港で手続きと支払いを済ませて船に乗る。

乗り場

必要なものは身分証(今回は居留証を使用した)と現金。今回参加したツアーは300元/人だった(子供料金があるかは不明)。

港に係の人がいるので、その人に声をかけると、受付してくれる。料金を支払い、本人確認をして、身分証を返却されたのちそのまま乗船。

受付。ほかの離島に行った時もそうだったが、港湾関連の役人さんはオレンジ色の制服を着ていることが多い印象。

乗船(よーくみると、大坵とかいてある)

上陸と集合時間の案内

今回は8時半に集合して手続きをし、9時に出航、9時10分ごろに大坵島に到着した。

10時45分に帰りの船が出るが、その乗り場は、降りた場所と違うから気を付けるように言われた(が、場所がよく聞き取れなかったので、一緒に連れて行ってくれた台湾人の方についていった)。

上陸場所では、梅花鹿が出迎えてくれる。

帰りの船の乗船場所。

鹿に餌をあげられる

北竿または大坵島の船着き場で、鹿の餌になる葉っぱを買うことができる。

1束50元だった(現金のみ受け付け)。奈良公園と違い、ここでは葉っぱを与える。

鹿の餌(せんべいではない)

束でもらえるが、実際に餌として食べさせるときは、束をほぐして1本ずつ上げるのが正しいやり方だ。

というのも、鹿は、他の鹿の唾液がついた食べ物は受け付けないらしい。この葉っぱを買ったお店の人曰く、それを知らずに束で鹿に食べさせた結果、最初の1頭以外の鹿が寄ってきませんでした、という客が多いそう。

鹿の唾液がつかないように、食べさせないときは、このように上にあげておくのがいいそうだ。

与えるときは、手前の方の様に1本ずつ。

ちなみに、色々な鹿がいて、船着き場付近まで下りてくる個体もいれば、ずっと森の中にいる個体もいる。

開けた場所にいる個体もいる。

生態系構築イベントを実施中

大坵島には緑があふれているが、その中には外来種で、鹿にとって有毒な植物が混ざっている。

2023年9月に大坵島を訪れた際、この外来種を除去して在来種の種をまくキャンペーンを実施中だった。

自分は、いまいち何を説明されているのかわからなかったが、連れてきてくれた台湾人の方が参加していた。

キャンペーンの概要

外来種の除去

曰く、外来種①葉っぱを触ると裏側がふさふさしている、②オレンジ色の実がついていることが特徴だそうだ。ただ、この外来種とそっくりな在来種があるため(葉の形が似ていて、赤い実がつく)、その判別ポイントが①の葉っぱの手触りとのこと。

引っこ抜く前には必ず素手で触って確認をする必要がある。

外来種の実。中にたくさん種が入っており、これが散布されると大変なので、実はつぶさないようにと言われた。

外来種。けっこう根がしっかりしている。

このキャンペーンに参加すると、除去セットとして、軍手とスコップ、引っこ抜いた草を入れる袋を貸してもらえるのでそれを使う。

在来種の種まき

他方、島にはまだ森林がない部分があり、この部分の植林のため、種まきも行われていた。曰く、ペットボトルに処理済みの種が入っているので、それを森になっていない、日当たりのいいところにまいてほしいとのことだった。

この辺にまいた。てか、絶景。

景品

活動を終えたら、除去セットと引っこ抜いた草を係の人に渡す。

参加賞ということでマグネットをいただいた(厳密には、自分は参加しておらず、参加した台湾人の方の荷物を持っていただけだったが)。

マグネット

島散策

そんな感じで、鹿に餌を上げつつ、雑草を引っこ抜きつつ島を1周ハイキングした。

日影が一切なく、上り坂になっているエリアはかなりきついが、鹿と絶景にいやされて、1時間ほどで1周できた。ちなみに、当たり前だが、島のいたるところに鹿の糞が転がっていて、これを踏まずに歩くことは極めて困難と思われた。

でっかい塊を踏まないようにだけ注意すればいいと思う...。

日影ゾーン。時々森の中に鹿が隠れている。

日向ゾーン。鹿はいることはいる。

雄鹿に角がある時期だった。

また、かつてここの島に人が住んでいた時の住居なども残っていた。

馬祖の伝統的家屋。

学校の跡地。

学校と農地の跡。

ミリタリーな場所ももちろんある。

軍事標語が掲げられた伝統家屋。

そんなかんじで、約1時間半、ハイキングを楽しんだ。

感想

完全に、連れて行ってくれた台湾の方におんぶにだっこだったが、無事に大坵島へ行くことができた。雰囲気は、奈良公園大自然バージョンとでもいった感じで、本当にたくさんの鹿がいた。

そこそこ坂道もあるので、動きやすい服と靴で行くのがいいと思う。日焼け止めも忘れずに。また、無人島なので、飲みものを買ってから島に渡る方がいいだろう(船着き場付近に1件お茶を打っている休憩所はあったが)。なお、公衆トイレは1か所だけあるが、今回は使用しなかった。

おまけ

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