先日、台南市立博物館にでかけた。
延平郡王祠のすぐ隣にある博物館。
1階はおそらく特別展で、このときは日本統治時代の台南の変遷をテーマにした展示がされていた。
日本の年号ベースで当時の台湾がどうだったか、と解説する展示は、さすがの台湾でもなかなか見かけないので貴重な視点だと思った。
延平郡王祠や、台南の名門大学、成功大学のキャンパスひとつとっても、さまざまな時代の名残がモザイク状に残っていることが、解説と写真から理解できた。
歴史好きな方にはおすすめの博物館だと思う。
そのほか、窓をテーマにした展示もあった。
2階は常設展のよう。全体的に鄭成功と日本統治時代に関する展示が多めだった(資料が多いからということも関係しているのかもしれない)。記念館ではなく博物館なので、鄭成功にしろ、日本統治時代にしろ、ニュートラルな目線で解説していた印象。
たとえば、鄭成功は台南の開拓者だが、裏を返せば当時ここに住んでいた原住民の土地を侵略した者ともいえる、とのメッセージがあったし、抗日運動についての戦時もしっかりされていた。個人的には、本当の日台友好は、こおういうネガティブな歴史も飲み込んだうえで成り立つと思うので、この展示内容は好印象だった(ただヨイショするだけの展示は気持ちいいけど、物足りない)。
鄭成功の親子像や銅鏡が展示されていた。
銅鏡は、元々鄭成功の母である田川氏が使っていたものと言い伝えられているそう。
台南で起こった大規模な抗日運動に関する写真もあった。
日本の砂糖産業保護や国有林業地に関する政策に対して市民の不満が爆発し、武装抗日運動が起きたとき(噍吧哖事件/西来庵事件/タパニー事件)のもの。
抗日運動後に捉えられた人がずらっと並んでいる様子がわかる。
結果として、運動は失敗し、2000人近くが逮捕され、800人以上に死刑判決が言い渡された。が、さすがにこれは多すぎるとのことで、被害者と同数の95人(132人とする説もあり)のみ刑は執行され、その他は大正天皇の即位記念恩赦ということでされたそう。
この裁判・判決・減刑と、逮捕者の釈放については、同じく台南市にある司法博物館(旧第一代臺南地方法院)にも展示があります。ご興味ある方はぜひセットで巡られると良いと思う。