今回の書籍:
ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳『銃・病原菌・鉄』2012年、草思社文庫
この本を読んだ理由
産業発展論か経済史を勉強した時に、先生に勧められて購入した一冊。
新型コロナの影響からか、最近「病原菌」と人類の戦いなどをテーマとした書籍が本屋でおすすめされているのを見て、何度か読み直したりしています。
読書メモ
格差や侵略の勝者と敗者を生み出した要素は何なのか、丁寧に紐解いていく一冊。
どうやら自分は「考えようにもどこから手を付ければいいかわからない壮大な問題」を論理的に説明してくれる本が好きなようです。
この本といい、『サピエンス全史』といい、筆者はこんなにも答えを出しにくそうな問題を根気よく考え続けていて、すごいなあと思いました…。
本書では、侵略する者とされる者を分けた直接的要因は、鉄製の武器(銃など)やそれを作る技術を持っていたこと、病原菌に対する免疫の有無だったとしたうえで、さらに、技術や免疫の獲得の差を生んだ要因は何か…ということを考察しています。
著者は、差を生み出す要因は食料生産であり、大陸・地域によって栽培化・家畜化が可能な動植物に違いがあったことが格差を生み出したと主張しています。
食料生産の開始(≒農業革命)による人口増加を人類史のキーとみなしている点は、『サピエンス全史』とも共通しているので、あわせて読むと理解が深まると思いました。